今をときめく現代病「マスク依存症」のメカニズム

心理学
ラビまる
ラビまる

マスクがないと不安で仕方ない人がいます。
本質的には結構シンプルな依存のメカニズムを見ていきましょう。


近頃、マスクをつけて歩いている人を以前よりよく見かける気がする。

なお、この記事を執筆している当時は、中国武漢市から広まった新型コロナウイルスの感染が日本でも猛威を振るい始めているころである。

だから今はみんなマスクをつけているのは至極当然なのだけど、このウイルスが話題になる前からやっぱり着用者は多かったと思う。

ヨーロッパやアメリカなんかでは日本みたいにマスク文化が強くないから、街中でマスクマンがぞろぞろと歩いている光景を見るとギョッとするみたいです。
(みんな重病人に見えるんだとか。)

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マスク依存症という心理状態

日頃から常にマスクをつけて生活していると、だんだんとマスクなしでは落ち着かなくなり、依存症とも言うべき状態に陥る人もいるようだ。

マスクを着けっぱなしだろうが、公衆衛生上望ましいわけだし別にいいのだけど、依存しすぎて日常生活に支障が出るレベルとなるとやはり問題である。

マスク依存の人は、本来のマスクの目的(ウイルスの感染予防・拡散予防)を離れて、

・他人から自分の顔の美醜や表情を見られなくてすむ
・周りと心理的に距離を保つ(壁をつくる)ことができる
・顔に常に何かが触れている感覚がクセになる

などといった理由で使用を続けていると思われる。

いったんマスクを外してしまうと、不安に耐えられない。

これは多分、その人が自分の顔に何らかのコンプレックスを感じていたり、周囲とのコミュニケーションに対して苦手意識をもっていたりすることが根底にある。

マスクを着けている間はそうした負の感情が軽減されるから、なんとなく今日もマスクを手に取り、ばっちり武装してから街へと繰り出して行くのだ。

口元を隠すと自分の感情を悟られにくくなり、「守られてる感」がある。

ちなみに私も対人関係がそれほど得意ではなく、自分の口元の見た目を気に入っていないので、マスクがあると安心する気持ちにはすごく共感できる。

たまーにマスク着けて出勤すると、自覚できるレベルで会話がしやすくなるのである。

マスクの効能、恐るべし。

依存のメカニズム

そもそも依存とは、「ある行動をした結果、ご褒美がもらえる」という体験を重ねることで形成されていくものである。

マスク依存の場合では、「マスクをつける」という行動がトリガーとなって「安心感」というご褒美が得られるため、行動と結果の結びつきがどんどん強くなり、ますますその行動に執着するように学習していく。

このような学習体系を、心理学の世界で「オペラント条件づけ」と言ったりする。
キーワードは「行動と報酬の結びつきによる学習」。

オペラント条件づけによってマスク装着行動が強化され続け、「ちょっと異常だよね」と認識されるレベルに至ったのがマスク依存という状態である。

こうした構造は、なにもマスク依存に限った事ではない。

ギャンブル依存もアルコール依存も、高揚感だったり不安解消といったご褒美によって強化された学習の結果である。

また、いわゆる強迫性障害(手を洗うのをやめられない、家の鍵をかけたかを異常に何度も確認しないと気がすまない、など)に見られる行動も、同様の学習の一例と言える。
「手洗い」のような行動は一時的に不安を軽減してくれるので、行動が強化され、強迫観念がどんどん高まっていくことになる。

こうして見るとオペラント条件づけって、私たちの行動の根底にある結構身近な原理だといえる。

子どものしつけも、褒めると報酬。叱ると罰。
私たちみんな、オペラント条件づけで大きくなったのだ。

マスク依存を抜け出すには

もしマスクを手放せないことで苦しさを感じているなら、まずは1時間マスクを外してみるところからスタートすると良いかもしれない。

そのうえで、次は3時間、1日、3日、…と、マスクなしで過ごす時間を増やしていく。
無理なくやれば、結構慣れてくるものである。

一見、根性論というか力技のようだが、実はオペラント条件づけの理にもかなっている。

要するに依存をループを抜けるためには、
マスクを着ける ⇒ 不安軽減
という強く結びついた因果関係をほぐしていくことが大事なのだ。

「マスクを外してみたけど嫌なことは特に起こらなかった」 経験を少しずつ重ねていくことで、マスクの有無と不安感の関連性を弱めていくことができる。

ちなみにこのような「とにかく慣れよう」作戦は、恐怖症の克服なんかにも実際に使われていたりする。

たとえばクモ恐怖症の治療なら、まずはクモを想像してみることから始めて、クモを遠くで見る、近くで見る、…としていくことで、クモと恐怖心の結びつきを少しずつ弱めていく。
(心理学の世界でエクスポージャー療法、暴露療法などという。)


聞いた話では、エクスポージャーの専門家の中にはかなりスパルタな人種も存在するそうで、潔癖症の治療のために患者をトイレに連れていき、便器に手を突っ込ませるという荒治療を行う療法士もいるんだとか。

潔癖症云々ではなく単純に汚い気がするのだが、治療なら仕方がない。


もし同様に、マスク依存をもっとスパルタンに解消しようとすると、何をすべきだろうか。

とりあえずもっているマスクを全部捨てたらいいかもしれない。
そのうえで人に会おう。

最近は婚活ブームの流れで、「マスク着用コン」なるコンセプト街コンまであるそうだから、その中に単身すっぴんで飛び込むのはどうだろうか。

自分の表情だけが一方的に筒抜けになる状況が、劇薬として作用しようである。

今マスク依存にお悩みで、自分にストイックな方、実践してみた結果のシェアをお待ちしています。

□マスク依存には、「行動」と「報酬」の結びつきからなるオペラント条件づけ学習が関係している。
□依存のループを抜け出すには、「行動」と「報酬」の結びつきを段階的に断ち切ることが有効
・エクスポージャー療法(暴露療法)は実際に臨床場面でも用いられている。

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