ウニクムは健康酒としてハンガリーでは大人気。
とても苦いですが、ハンガリーの歴史と風土を感じながらほろ酔えます。
「UNICUM(ウニクム)」というお酒をご存知ですか?
アルコール度数40%の薬草系のリキュール。
中央ヨーロッパに位置するハンガリーでは、国民的飲料となっているシロモノらしい。
ビンは小ぶりで、目を引くデザイン。
まるで毒薬か爆弾かのようなフォルムをしている。
ちなみに写真は、私が以前ブダペスト(ハンガリーの首都)へ旅行にいったときに土産の品として購入したものである。
現地の大きめのスーパーマーケットに入って酒類コーナーをブラブラしていると、この「ウニクム」が棚を埋め尽くす勢いで大量に陳列されていたので、それほど人気ならばとカゴに入れてしまったのだった。
ソウルフードとかご当地グルメとか、私はそういうのに弱いのである。
ウニクムを飲んでみる
ウニクムは、日本の養命酒に例えられたりする。
どちらも薬草系のトロっとしたお酒で、滋養強壮に良いとされる。
ウニクムをグラスに注ぐとこんな感じ。
色合いもほぼ養命酒である。
ではお味はどうなのか。
おいしいのか。
私はこの記事を書くにあたり、実際にウニクムをチビチビやりながらキーを叩いている。
結論から言うと、メチャクチャ苦い。
口に含んだ瞬間はまさに養命酒のような、こってりした甘さを感じるが、 0.5秒後くらいには強烈な苦味がやってきて、飲み込んだあとも数分は口の中に苦いような渋いような独特の感覚が残る。
養命酒とセンブリ茶を1:1で割って飲んでいるようである。
センブリ茶なんて飲んだことないから分からないぞという方。
たとえばなんだろう。
グレープフルーツの皮の内側にある白いワタみたいなアレを集めて噛んでる感じの苦味でしょうか。
そもそも養命酒も飲んだことないから分からないぞという方。
ようは甘い薬草酒です。
例えるのが難しいので、この際飲んでみてください。
【第2類医薬品】薬用養命酒 700ml
そもそもウニクムは、ウイスキーのようにじっくりと味わうものではなく、飲みすぎた夜や二日酔いの朝なんかにショットグラスで一息にクッとやって、あとはさっさと寝るのが正しい作法らしい。
だから味が多少マズかろうが、そこはあまり重要ではないのだ。
まさしく、良薬口に苦しというやつである。
実は歴史の深いウニクム
ウニクムが生まれたのは、ハンガリーが現在の独立国家となるもっと前。
西暦1790年のことらしい。
いまや誕生200周年以上の、大変歴史のあるお酒ということだ。
その頃のブダペストは、かのビッグファミリー「ハプスブルク家」の支配下にあった。
当時ハプスブルク家に仕える医師が、皇帝ヨーゼフ2世(1765-1790)の健康のために作り出したドリンクこそが後の「ウニクム」であった。
ヨーゼフ2世が始めてこれを飲んだときに、
「…うーん、これは独特(UNICUM)!」
と食レポしたことから、めでたくその名がついたとされている。
その調合レシピは門外不出とされているので、製造者しか知らない黄金の配合なのだが、200年以上たった今でも変わらず人々に愛されているというのだからスゴイことである。
ところでヨーゼフ2世の「独特」というのは、味の評価としてどうなんだろうか。
私たちが料理の感想で「独特な味です!」なんて言うときは、褒めてはないですよね。
「UNICUM」とは、きっと「ユニーク(UNIQUE)」と同語源だろうから、「他にはない良さがある!」みたいなポジティブなニュアンスもあるのかな。
いずれにしても、ヨーゼフ2世の食レポを皮切りとして、ウニクムは国民的飲料としての人気を得ていったのは確かだ。
ネットで気軽に手に入る
そんな個性強めのウニクムだが、日本でもネットで気軽に輸入品を入手することができる。
ウニクム 700ml 40度
もともと日本ではあまり流通していなかったそうだが、叶姉妹が愛飲していることが話題になってから販売ルートが拡大したとかなんとか。
なるほど叶姉妹の美貌とメリハリボディには、このウニクムが一役買っていたのかもしれない。
ちなみに私が色々とウニクムの飲み方を試した結果、牛乳割りが結構オススメである。
ウニクムの苦味が牛乳と混ざることでかなりマイルドになり、コーヒー牛乳のような程よいビター具合に落ち着いてくれる。
ちょっとほろ苦さを味わいたい夜に、ウニクムで晩酌してみるのはいかがでしょうか。
□ハンガリーの薬草酒「ウニクム」は、古くからハンガリーで愛されてきた。
・1790年、ハプスブルク帝国の時代に生まれ、ヨーゼフ2世に捧げられたお酒
□味はとても苦いが、牛乳で割ると結構イケる。
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