
一見ただの運試しゲームに見えるけれども、よーく考えれば必勝法がある。
あなたはその方法に気づいて戦略的な勝利を手にすることができるか?という問題です。
あなたはついさっき会社をクビになり、失意のどん底にいる。
行くあてもなく海辺で途方に暮れていると、なんとそこへ宝船に乗った7人の七福神がどんぶらことやってくるではないか。
慈悲深い七福神たちは、不幸の中にいるあなたに人生一発逆転のチャンスをくれるという。
もし七福神とのゲームに勝てば「幸福のお守り」が手に入り、そのありがたいご利益により今後は金運・良縁にも恵まれて存分に長生きすることができる。
一方、もしゲームに負ければ「不幸の呪い」をうけることとなり、今後さらなる不運が波のように押し寄せてきて地獄の人生を歩むことになるというのである。
ゲームの内容は次のとおり。
・いま、「恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天」の順で神様が並んでいる。

・7人の神様のうちの誰か1人が「幸運のお守り」を隠し持っている。あなたはどの神様が「幸運のお守り」を持っているかを回答する。
・回答のチャンスは10回。回答後は、正解か不正解かのみが知らされる。
・あなたが回答するたびに、「幸運のお守り」は、その時に持っていた神様から、その隣にいる神様へと移動する。
・1度でも「幸運のお守り」のありかを言い当てることができれば勝利。10回とも誤答してしまうと敗北となる。
さて、職を失ったばかりのあなたはぜひとも「幸運のお守り」をゲットしたい。
しかしここでゲームに負けて「不幸の呪い」をうける事態だけはなんとしてでも避けたいと思っている。
このチャンスをものにするために、あなたはどのような方策でゲームにのぞむべきだろうか。
思考の糸口
問題の解答を紹介する前に、ヒントを3つ用意した。
適宜参考にしながら、ぜひ自力で答えにたどり着けるかチャレンジしてみてほしい。
(ヒント1、ヒント2、ヒント3の順に、問題の核心に近づいていく内容としているつもりです)
ヒント1
お守りの持ち主の移り方がもし完全にランダムだったなら、これは単純に運まかせのゲーム。
しかし今回は「新しい持ち主は必ず前回の持ち主の隣にいる神様」というルールがあるため、これが攻略の糸口となる。
このルールをうまく利用すれば、10回のチャンスで確実にお守りのありかを特定することができる。
ヒント2
神様の並びに数字を振ってみると状況がわかりやすくなる。
(恵比寿=①、大黒天=②、福禄寿=③・・・弁財天=⑦、というように)
お守りの動きも同様に数字でとらえれば、ある法則に気づく。
すなわち「お守りの位置は必ず 偶数→奇数→偶数→奇数… と交互に移動していく」という法則である。
ヒント3
問題を単純化して、神様が①、②、③の三人だけのケースで、必勝法を考えてみる。
初めに「お守りの初期位置は偶数だ」と仮定をたててしまえば、話は早い。
まず、このことを確かめるために②を回答する。
もし②がハズレならば、「お守りの初期位置は奇数だった」ということが判明する。
ということは1度誤答したいま、お守りは今度こそ偶数の位置に移動している。
もう一度②を選べば、次こそ確実に正解できるわけだ。
このような2段階のステップを、今回の問題でもうまく活用できないだろうか。
答えと解説
答え
次の4パターンのうちいずれかの順番で回答していけばよい。
(七福神の名前の頭文字のみ表記)
パターン1:大 ⇒ 福 ⇒ 毘 ⇒ 布 ⇒ 寿 ⇒ 大 ⇒ 福 ⇒ 毘 ⇒ 布 ⇒ 寿
パターン2:寿 ⇒ 布 ⇒ 毘 ⇒ 福 ⇒ 大 ⇒ 寿 ⇒ 布 ⇒ 毘 ⇒ 福 ⇒ 大
パターン3:大 ⇒ 福 ⇒ 毘 ⇒ 布 ⇒ 寿 ⇒ 寿 ⇒ 布 ⇒ 毘 ⇒ 福 ⇒ 大
パターン4:寿 ⇒ 布 ⇒ 毘 ⇒ 福 ⇒ 大 ⇒ 大 ⇒ 福 ⇒ 毘 ⇒ 布 ⇒ 寿
上記の順に答えれば、必ず10回目の回答までにお守りの持ち主を言い当てることができる。
解説
なにやらゴチャゴチャとした解答となったが、実はそれほど複雑な話ではない。
まずは問題をシンプルにとらえるため、七福神たちの並びを①~⑦の数字で置き換えて考える。
今回のゲームでは、どの数字がお守りの初期位置となるかはわからないけれども、
たとえば ③ ⇒ ② ⇒ ① ⇒ ② ⇒ ③ ⇒ ④ ⇒ ⑤ ⇒ ⑥ ⇒ ⑤ ⇒ ⑥・・・
といったように、回答するごとにお守りの位置が隣へ移っていく。
このとき、必ずお守りは「偶数の位置」と「奇数も位置」とを交互に繰り返していくということがポイントとなる。

第1ステップ:初期位置が「偶数」だと仮定する
まず、ゲーム開始時にお守りがあるのは「偶数の位置」すなわち②、④、⑥のどこかであると仮定してみよう。
この仮定が正しければ、必ず5回以内にお守りの位置を特定する方法がある。
ズバリ ② ⇒ ③ ⇒ ④ ⇒ ⑤ ⇒ ⑥ と、可能性のある範囲を片っ端から調べていくのである。
1回目で②を回答してハズレなら、初期位置は④、⑥のどちらかだったということになる。
その場合、2回目のトライの時点ではお守りは③、⑤、⑦のどこかに移動している。
2回目で③を回答してハズレなら、3回目のトライでは④、⑥のどちらかに戻っているはずだ。
こうしてお守りを端から追い詰めるように、可能性の範囲をしぼっていく。
3回目で④がハズレなら、次は⑤、⑦のどちらか。
4回目で⑤がハズレなら、いよいよ次は⑥にお守りがあることが確定するわけである。

最後に5回目で⑥を回答すれば、これでめでたく「幸運のお守り」ゲット!
・・・となったらいいのだが、実際はこの回答でもハズレを引く可能性が残っている。
それは、「初期位置が偶数である」という仮定がそもそも間違っていた場合である。
第2ステップ:もう一度同じ手順を繰り返す
第1ステップの手順を行ってもお守りの持ち主が見つからなかった場合、「ゲーム開始時にお守りは奇数の位置にあった」ということが確定する。
ここで「お守りは偶数と奇数を交互に移動する」法則を思い出してほしい。
第1ステップの手順を終えた時点で計5回の回答を終えているので、
奇数(初期位置)⇒ 偶数 ⇒ 奇数 ⇒ 偶数 ⇒ 奇数 ⇒ 偶数
という過程を経て、今度は必ず「偶数の位置」すなわち②、④、⑥のどこかであると断定できるのである。
そうと分かればあとは簡単で、第1ステップと同じ手順をもう一度繰り返せばよい。
② ⇒ ③ ⇒ ④ ⇒ ⑤ ⇒ ⑥ と、可能性のある範囲を片っ端から調べていけば、今度こそお守りの持ち主を確実に見つけることができる。
こうして、計10回の回答チャンスがあれば100%ゲームに勝利できることが確認できたわけだ。
ちなみに偶数・奇数の配置は左右対称形であるから、各ステップでの調べ方は「⑥ ⇒ ⑤ ⇒ ④ ⇒ ③ ⇒ ②」のように反転させても大丈夫。
よって、解答として示した4パターンが導かれるのである。
・・・こうしてあなたは見事ゲームの必勝法を見破り、「幸福のお守り」を手にすることができた。
実はこのゲームはかなり良心的な設計で、なんの作戦もなしにあてずっぽうで挑んでも8割くらいの確率で勝利できる計算である。
しかしだからといって、「ええい、いってしまえ!」と思考停止に陥ってはもったいない。
このゲームで不運にも敗北してしまう人とは、そういう人なのである。
あくまで理論的な戦略により幸福を勝ち取ったあなたを見て、七福神たちは満足したようにまたどこかへ去っていきましたとさ。
めでたしめでたし。
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