難問の論理・数理パズルに挑戦しよう【赤目の村】

数学・パズル
ラビまる
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ハーバード大学で作られた論理パズル「緑色の目をしたドラゴン(Green-eyed dragons) 」は、シンプルながら論理の奥深さを感じられる良問です。
これをベースにちょっとアレンジした論理パズルと、その解説を紹介します。


問題【赤目の村】

人口わずか100人のとある小さな村がある。

この村には「赤目」とよばれる真っ赤な瞳をもつ人間がいる。

また、村には次のような絶対的な掟(おきて)がある。
「自分が赤目であることを知った者は、その日の夜に自ら命を絶たなければならない」

そして実は、この村の住人は100人全員が赤目である。

しかし、村には鏡など自分の姿を自分で確認できるようなものは一切なく、また、村人が瞳の色についての話題を口にすることも固く禁じられている。

そのため村人たちは、自分以外の村人が赤目であることは知っているが、自分自身の瞳が何色なのかは知ることのないまま生きていることになる。

村では毎朝広場で集会を開いており、1日1度はすべての村人が顔を合わせている。

ある日、通りすがりの旅人が集会中にやってきて、村人たちの前で、

「赤目の人間がいる!」

と叫んでしまった。

さて、この村ではこれから何が起きるだろうか?

なお、すべての村人は旅人の発言を前提として極めて論理的な思考をするし、そのことを村人たちは互いに知っているものとする。
 

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思考の糸口

問題の解答を紹介する前に、3つのヒントを記載しておく。

自分の力で答えにたどり着きたい方は、ヒントを参考にしながらどうぞ。

ヒント1

旅人の発言から得られた情報は、
「この村には少なくとも1人以上の赤目がいる」
ということだった。

すべての村人が、「この情報を村の全員が聞いていた」ということを共通認識している点がポイントとなる。

ヒント2

村人は自分の目の色を直接確認する手段がない。

しかし、他の村人の行動(自殺をした or しなかった)に注目すれば、推論によって得られる情報がある。

集会によって、他の村人の行動を毎日把握することができる。

ヒント3

話を単純化するために、村人の数を減らして考えてみるとわかりやすくなる。

村人が2人だけだとしたらどうなるか。3人だとどうか。

解答と解説

解答【赤目の村】

 
旅人が来てから100日目の夜に、100人すべての村人が一斉に自殺する。
 

答えの導き方

いきなり村人100人を考え出すと大変なので、まずは単純化させて、村人が2人のみの状況について考えてみる。

今回の問題を解くうえで重要なのは、「他の村人の行動(自殺した or しなかった)から得られる情報」に注目することである。

【状況1】村人が2人のケース ※自分以外に1人の赤目が見える状況

村人Aは、このように考える。
「もし私が赤目でないとすれば、旅人の発言を受けて村人Bは自身が赤目であることをすぐに確信し、初日の夜に自殺するはずだ。逆にもし2日目まで村人Bが生きていたら、私も赤目だということになる。」

このとき、村人Bもまた同じことを考える。

そして2日目の集会で顔を合わせた村人A・Bのそれぞれは、同時に自分が赤目であることを知り、2日目の夜に自殺することとなる。

続いて、村人が3人、4人となった場合を考えてみる。

【状況2】村人が3人のケース ※自分以外に2人の赤目が見える状況

村人Aはこのように考える。
「もし私が赤目でないとすれば、村人B・Cにとっては『自分以外に1人の赤目が見える状況』となるから、【状況1】のとおりの推論ができる。」
「そのため、村人B・Cは2日目の夜に同時に自殺するはずだ。逆にもし3日目まで村人B・Cが生きていたら、私も赤目だということになる。

このとき、村人B・Cもまた同じことを考える。

そして3日目の集会で顔を合わせた村人A・B・Cのそれぞれは、同時に自分が赤目であることを知り、3日目の夜に自殺することとなる。

【状況2】村人が4人のケース ※自分以外に3人の赤目が見える状況

村人Aはこのように考える。
「もし私が赤目でないとすれば、村人B・C・Dにとっては『自分以外に2人の赤目が見える状況』となるから、【状況2】の結末が再現される。」
「そのため、村人B・C・Dは3日目の夜に同時に自殺するはずだ。逆にもし4日目まで村人B・C・Dが生きていたら、私も赤目だということになる。

このとき、村人B・C・Dもまた同じことを考える。

そして4日目の集会で顔を合わせた村人A・B・C・Dのそれぞれは、同時に自分が赤目であることを知り、4日目の夜に自殺することとなる。

このように見ていくと、

「村人がN人のケースでは、N日目の夜にすべての村人が一斉に自殺する」

という規則性があることが分かる。

したがって問題となる100人の村では、100日目の夜に100人すべての村人が一斉に自殺するという結論が導けるのである。

旅人が村人たちに与えた情報とは何だったのか

突然やってきた旅人の発言をきっかけとして、100日後には村人が誰もいなくなってしまった。

しかし思えば、村人たちは最初から99人の赤目に囲まれて暮らしていたわけで、今更旅人に「赤目がいる」と言われたところで、新しく得られる情報は何もないように見える。

では旅人の発言によって何が変わったのだろうか。

たしかに現実には「 村に少なくとも1人以上の赤目がいる」ことは言われるまでもなく明らかなのだが、村人たちによる高度な推論の世界では、この情報が公表されることは重要な意味をもつことになる。

村人たちの思考をおさらいしてみると、まず「自分が赤目でない」と仮説をたて、その仮説が否定されることによって自分が赤目だということを確信している。
いわゆる背理法というやつである。

  <背理法についてはこちらの記事でも触れています。>

100人の村での推論を考える。

村人Aからは99人の赤目が見える。

村人Aが「自分は赤目でない」と仮説を立てたとき、村人Aの仮説の中の村人Bからは98人の赤目が見えるはず。

村人Aの仮説の中の村人Bもまた「自分は赤目でない」と仮説を立てるから、このとき村人Aの仮説の中の村人Bの仮説の中の村人C からは97人の赤目が見えるはず。

・・・

村人Aの仮説の中の村人Bの仮説の中の … (中略) … の仮説の中の村人X (100人目)からは赤目が一人も見えないはず。

というように、村人Aの中で仮説が仮説をよび、マトリョーシカのように突き詰められていく。

ここで、村人Aの仮説の中で最終的にたどりつく村人X(100人目)にとっては、周りに赤目が1人も見えないのだから、「 村に少なくとも1人以上の赤目がいる」事実は当たり前ではない。

旅人が「赤目がいる」と発言したことによって初めて、村人X (100人目) は自分が赤目であることを知るはずだ。と、村人Aは仮説の中でこのように考えるのである。
(これが前述の【状況1】の推論へとつながる。)

これをきっかけとして推論が展開していき、
「もし私が赤目でないとすれば、私以外の99人は99日目の夜に全員自殺するはずだ」
という結論にたどり着くことができる。

明らかな事実を口にするだけで、想像に反して大変な結末につながる。
論理の不思議さ、面白さを感じられる問題でした。


<もとにした問題はこちら>
Green eyed dragons (緑色の目をしたドラゴン)
http://mathpuzzlewiki.com/index.php/Green_eyed_dragons

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