突然ですがクイズです。
一般に「世界三大瀑布」として知られる3つの滝の名称と位置をご存じでしょうか?

「瀑布(ばくふ)」というのは、つまり大きな滝のことです。
崖から流れ落ちる大量の水がまるで白い布のようだということで、滝を布に見立てた風流な呼び名が当てられているんですね。
世界三大瀑布は、世界の滝の中でもひときわ有名で人気のある代表的な3つをピックアップしたものをいいます。

この記事では、それぞれの滝の概要についてざっくりまとめて比較します。
世界三大瀑布とは
早速ですがクイズの答えです。
「世界三大瀑布」とは、
- ナイアガラの滝(アメリカ/カナダ)
- イグアスの滝(アルゼンチン/ブラジル)
- ヴィクトリアの滝(ジンバブエ/ザンビア)
の3つのことを指します。
いずれの滝も2国間にまたがっており、国境としての役割も担っています。
それでは順番に詳しく見ていきましょう。
ナイアガラの滝


ナイアガラの滝は、世界の滝の中ではもっとも有名かもしれません。
アメリカとカナダの国境を通る川の中腹に位置しており、滝にしては結構普通の街中にいきなりある感じです。
落差は56メートルほどと特段高いわけではありませんが、横に広いので迫力はかなりのもの。
流れる水量としては北米で最大規模を誇っています。
ちなみに「ナイアガラの滝」というのはこの川にある3つの滝の総称のことで、それぞれには個別の名前がついています。
- カナダ滝:大きく湾曲した形の、一番大きな滝
- アメリカ滝:カナダ滝に次いで大きな直線状の滝
- ブライダルベール滝:幅15メートルほどの小さめの滝
なかでも一番人気のメイン滝は、やっぱり最も大きくて立派なカナダ滝。
非常に特徴的な形をしていて、上空から見るとまるで馬のひづめのような形にカーブしています。


馬のひづめはヨーロッパを中心にラッキーチャーム(幸運のお守り)として知られるシンボルです。
魔除けとして飾られることも多いので、この形は大変縁起がよろしいということで、なおさら人気が出るわけですね。
この素晴らしい眺望に都市からすぐにアクセス可能というのも魅力的。
周辺にはたくさんのレジャー・宿泊施設が整備されて、一大観光地として賑わっています。
正直なところナイアガラの滝は、その大きさだけでいえば世界三大瀑布の他の滝と比べるとちょっとワンランク下がってしまう感は否めません。
しかし、これほどのアクセスの良さ・人気と知名度の高さをもった滝は世界にそう多くはないでしょう。
幻想的なライトアップとか、クルージングとか、花火とのコラボレーションとか、あらゆる商業化の追い風を受けて、長きにわたって世界中の人々に愛され続けているのです。



気軽に楽しみに行くなら、やっぱりナイアガラの滝!
イグアスの滝


イグアスの滝は、まさに「大瀑布」の名にふさわしい質実剛健の実力派です。
先ほどと違ってライトアップなどの派手なイベントなどはありません。
アルゼンチンとブラジルにまたがる「イグアス国立公園」の大自然の中に位置しているので、アクセスにも結構気合が必要です。
しかしイグアスの滝には、他の滝とは一線を画す圧倒的なスケール感があるのです。
最大落差86メートル、滝の数は200本を超え、滝口の幅は約2,700mにもわたります。
すさまじい水量、もう見渡す限り滝の世界です。
アメリカ第32代大統領フランクリン・ルーズベルトの妻であり人権活動家のエレノア・ルーズベルト(1884-1962) は、イグアスの滝を訪問した際に思わずこう呟いたそうです。



あぁ、私のかわいそうなナイアガラちゃん…。
その規模だけで言えば、イグアスの滝を目の前にしてしまうとナイアガラの滝もしょぼく見えるということですね。
特に見どころは、「悪魔の喉笛(あくまののどぶえ)」という恐ろしい名前がつけられたスポット。
とんでもない量の水が一気に流れ落ちるため、あまりの轟音がまるで悪魔がゴロゴロとうなっているかのように聞こえるのです。
滝の数・幅・水量などの総合力から、イグアスの滝は一般的に「世界最大の滝」として知られています。



大迫力に圧倒されたいなら、南米イグアスの滝!
ヴィクトリアの滝


ヴィクトリアの滝も、雄大な自然に囲まれた世界最大級の滝です。
場所はアフリカ大陸南東部。
ジンバブエとザンビアの国境です。
イグアスの滝と比べて横幅はやや劣るものの、代わりに108メートルという世界三大瀑布の中で最大の落差を誇っています。
ヴィクトリアの滝の面白いところは、流れ落ちる水の量が時期によって大幅に変動するところ。
ベストパフォーマンスにおいては毎分5億リットルというバケモノ級の水量に及びますが、水がないときはとことん枯れあがって、ただの崖のような外観になってしまいます。
この不思議な現象が起きる背景には、ヴィクトリアの滝を形成するザンベジ川の上流流域の大部分が、ケッペンの気候区分でいう「Cw(温帯夏雨気候:おんたいかうきこう)」に該当することが関係しています。
気温や降水量・地形などの分布の違いによって、世界各地の気候を段階的に区分けしたもの。
A(熱帯) / B(乾燥帯) / C(温帯) / D(冷帯) / E(寒帯) の5つを主な気候帯として、そこからさらに細分化される。
温帯夏雨気候の大きな特徴は、季節によって雨季(うき)と乾季(かんき)がはっきりと分かれること。
雨季:11月~3月 → 大量の雨が降る
乾季:4月~10月 → めちゃくちゃ乾燥する
この降水量の大きな差が、大地をつたってザンベジ川の流量にも反映され、また少し遅れて下流の滝にもそのまま反映されるのです。
ピーク時のヴィクトリアの滝を見れば、広大なアフリカ大陸の中南部一帯に降った豪雨のスケール感を感じることもできるわけですね。
滝下の遊歩道では水しぶきが煙のように勢いよく立ち上り、あまりの激しさに「下から上に雨が降る」と形容されるほどです。



大自然の営みを肌で感じたいなら、ヴィクトリアの滝!
比較のまとめ
ということで、今回は世界三大瀑布の特徴をそれぞれ学んできました。
- ナイアガラの滝は、馬のひづめ型のカナダ滝がシンボルの大人気スポット
- イグアスの滝は、「悪魔の喉笛」をもつ世界最大スケールの大瀑布
- ヴィクトリアの滝は、大きな落差と時期による水量変動が特徴的な滝
それぞれの滝のキャラクター性のようなものが、なんとなくイメージできたでしょうか。
ちなみに「イグアスの滝」と「ヴィクトリアの滝」は、共にユネスコの世界自然遺産にも登録されています。
地球の大自然が何百万年もの歳月をかけて形作った壮大な滝を目の前にすると、そのスケール感に圧倒されて日々の喧騒なんてどうでもよく感じられそうですね。
それでは最後に、世界三大瀑布のデータを表にまとめてみましょう。
名称 | ナイアガラの滝 | イグアスの滝 | ヴィクトリアの滝 |
---|---|---|---|
立地 | アメリカ/カナダ | アルゼンチン/ブラジル | ジンバブエ/ザンビア |
最大落差 | 58m | 82m | 108m |
幅 | 1,203m | 2,700m | 1,708m |
平均流量 | 2,407㎥/秒 | 1,746㎥/秒 | 2,407㎥/秒 |
最高流量 | 6,800㎥/秒 | 12,600㎥/秒 | 12,800㎥/秒 |



あなたの推し滝はどれですか?
会いに行ける滝ならやっぱりナイアガラですかね。